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【ジャパンイーブックス WATCH】災害対策と「市町村アーカイブス」


©︎ photo AC


現在デジタル庁が掲げている「防災DX」は、主にアプリなどを活用して住民一人ひとりが災害時に的確な支援を受けられることを目指し、防災分野のデータ連携基盤の構築や、自治体における防災アプリ・サービス調達の迅速化・円滑化などに取り組むとしている(下記*1のURL参照)。

 

一方、ジャパンイーブックスが推進する「市町村アーカイブス」は、いわゆる緊急災害に対応するシステムではなく、この「防災DX」に直接的に関わるものではないが、こうしたデジタル防災関連の動きは「市町村アーカイブス」の位置づけや意義を改めて対照・整理する好機ともなる。

 

また、災害時の自治体の業務継続計画(BCP)に必要な要素の中に、“重要な行政データのバックアップ”があるが(下記*2のURL参照)、「市町村アーカイブス」は緊急時に即必要な行政データのバックアップやシステム復旧に係るものではないという点で、優先度の高いBCPモデルとは言えないだろう。

 

しかし、自治体広報誌などの公的資料をデジタル保管し、地域の知財と歴史を後につなぐ意味において、「市町村アーカイブス」が災害後の地域の復旧・復興に資するものであることは確かであり、平常時においてはDX本来の目的である、自治体の業務効率化と公共サービスの利便性向上を担うシステムである。

 

先の能登半島地震の復旧・復興状況にも見るように、災害後に地域が一定の落ち着きを取り戻すには膨大な時間と労力・予算がかかり、中には取り戻せない多くのものがある。地域の貴重な歴史・情報を継承していくためには、地域単位によるボトムアップ型の働きかけが必要であることが、こうした現状から窺える。

 

*1:デジタル庁・関連ページ


*2:内閣府資料「大規模災害発生時における地方公共団体の業務継続の手引き」

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